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PERSON
稲盛和夫
稲盛和夫
京セラ・KDDI創業者——平成の「経営の神様」
1932-2022 · 享年 90歳
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生涯
1932年1月21日、鹿児島市薬師町の印刷業・稲盛畩市(けさいち)の次男として生まれた。幼少期に結核を患い、宗教書『生命の實相』を読み生きる意味を問うた。鹿児島大学工学部を卒業(1955年)、京都の碍子メーカー・松風工業に入社するも給料遅配の倒産寸前会社で、上司と衝突し退社を決意。1959年4月1日、27歳の時、松風工業の元上司・青山政次ら7名と京都市中京区に資本金300万円で「京都セラミック株式会社」(現京セラ)を設立、ファインセラミックス技術で電子部品市場に参入。「アメーバ経営」と呼ばれる独自の経営手法を開発、全社員を小集団に分け、各々が独立採算で経営する仕組みで急成長。1984年、電気通信事業自由化を機に、第二電電企画(DDI、現KDDI)を設立し、54歳でNTT独占だった通信市場に挑戦。2000年DDI・KDD・IDOの合併でKDDI誕生、日本第2位の通信会社に成長。1985年、私財200億円を投じて稲盛財団を設立、世界的な科学賞「京都賞」を創設(ノーベル賞の先駆者を表彰)。1984年「盛和塾」を創設し、若手経営者への無償の経営指導を30年間続けた。2010年1月、民主党・鳩山由紀夫政権の要請を受け、破綻した日本航空(JAL)会長に無報酬で就任、78歳で第二の経営人生を開始。全従業員のうち1万6千人のリストラを実行する一方、「アメーバ経営」を導入、2年後の2012年3月期に営業利益2,049億円(史上最高)を達成、2012年9月に再上場を果たす奇跡の再建を実現。2022年8月24日、京都で90歳で老衰のため没。
人物像
宗教的な人生観を持つ哲学者型経営者。若き日の結核体験と『生命の實相』との出会いにより、「人生は魂を磨く場」という信念を獲得、晩年には在家のまま仏門に入り、得度(1997年)した。「動機善なりや、私心なかりしか」「人として正しいことを追求する」を経営の原点とした「利他の経営」哲学は、多くの経営者に影響を与えた。質素な生活を好み、京セラ創業後も長年、社員食堂で食事。盛和塾での若手経営者指導では、説法のような熱弁を振るい「稲盛先生」と慕われた。
歴史的意義
京セラは世界最大級のセラミック電子部品メーカー、KDDIは日本第2位の通信会社として現在も成長を続け、稲盛和夫が残した「アメーバ経営」はトヨタ・ソフトバンクをはじめ世界の企業に導入された。JAL再建(2010-2012年)は日本企業再生の成功モデルとして、ハーバード大学のケーススタディにもなった。稲盛財団の「京都賞」(思想・芸術・基礎科学・先端技術の4分野、各賞金1億円)は「日本のノーベル賞」と呼ばれ、山中伸弥(iPS細胞)・本庶佑(PD-1、後にノーベル賞受賞)らを先取りして顕彰してきた。盛和塾(2019年閉塾、世界で約1万5千人参加)は、孫正義・柳井正(ユニクロ)ら日本を代表する経営者も塾生であり、日本経済に大きな影響を与えた。著書『生き方』『働き方』等は世界中で翻訳され、特に中国では2000万部を超える大ベストセラーとなった。
逸話・エピソード
アメーバ経営の誕生——1960年代
1960年代、急成長する京セラで稲盛は「すべての社員が経営者意識を持つには」と悩んでいた。試行錯誤の末、全社員を5-50人の小集団(アメーバ)に分け、各単位が独立採算で売上・コスト・利益を把握、「時間当たり採算」で効率を競う仕組みを開発。この「アメーバ経営」により、末端社員まで経営参画意識を持ち、生産性が劇的に向上した。稲盛自身「これは社員の心を一つにする哲学と、精密な会計管理の両輪で初めて機能する」と語った。後にJAL再建でも同システムを導入、わずか2年で3年間で10兆円の負債を整理し再上場させる「再生の奇跡」を実現。アメーバ経営は『アメーバ経営』(2006年刊)等で体系化され、世界700社以上で導入されている。
JAL再建——2010-2012年
2010年1月19日、日本航空(JAL)は会社更生法の適用を申請、負債総額2兆3千億円は事業会社としては戦後最大。民主党・鳩山由紀夫政権は稲盛に「国のために」と会長就任を依頼、78歳の稲盛は航空業界未経験ながら無報酬で引き受けた。着任後、まず全従業員4万8千人の3分の1にあたる1万6千人リストラを断行、不採算路線48路線を撤廃。並行して「JALフィロソフィ」という経営理念手帳を全社員に配布、「お客様第一」「利他の心」を徹底。アメーバ経営を導入し、各部門が独立採算で経営意識を持つ体制に転換。結果、2011年3月期(再建1年目)に営業利益1,884億円(従来最高の約4倍)、2012年3月期に2,049億円の史上最高益を達成。2012年9月19日、東京証券取引所に再上場を果たした。この再建は「破綻後わずか2年8ヶ月で再上場」という世界的にも稀有な事例として、MBA教材にもなっている。稲盛の経営哲学が実証された決定的事件として記録された。
─ 完 ─
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