1979年初頭、井深大名誉会長は出張が多いことから「プレスマン(テープレコーダー)で音楽を再生できないか」と盛田会長に相談。盛田は「ヘッドホンで音楽を歩きながら聴く」というアイデアに飛びつき、開発部に「録音機能を外し、再生専用の小型・軽量機を4ヶ月で作れ」と指示。社内の強い反対(「録音機能なしのテープレコーダーなど売れない」)を押し切り、1979年7月1日「ウォークマンTPS-L2」を33,000円で発売。初月3万台の販売目標に対し、発売2ヶ月で3万台販売、半年で品薄状態となる爆発的ヒット。英語名「Walkman」は和製英語だが、盛田は「ソニーで通じさせる」として強行、結果的にオックスフォード英語辞典にも収録された。ウォークマンはライフスタイル革命を起こし、2010年の製造終了まで世界で4億台以上販売された。
1988年1月、ソニーは米コロムビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(米コカ・コーラ傘下)を34億ドル(約4,900億円、有利子負債16億ドル含む総額は約7,800億円)で買収。当時の日本企業による海外M&Aとして最大規模、米国では「日本によるハリウッド買収」として大きな論争を巻き起こした。米誌Newsweekは「アメリカの魂を買ったのか」と表紙を飾った。盛田は「ハード(電子機器)とソフト(コンテンツ)の融合」ビジョンを語り、ソニーを単なるエレクトロニクス企業から総合エンタテインメント企業へと変貌させた。当初は経営統合の難しさから大赤字を計上したが、1998年以降黒字化、現在のソニー・ピクチャーズは世界有数の映画会社として「スパイダーマン」「007」等のヒット作を送り出している。プレイステーションの成功と合わせ、盛田のビジョンは30年後に完全に実現された。