「風姿花伝」——「初心忘るべからず」を生んだ能楽論の古典
世阿弥元清は父・観阿弥とともに足利義満の庇護のもと猿楽(のちの能)を芸術として大成させた。1400年頃に著した「風姿花伝」(花伝書)は、能の芸術論・修行論を記した世界的に見ても稀な演劇理論書であり、「初心忘るべからず」(「初心」を三段階に分けた芸の修行論)・「秘すれば花」(秘匿されたものにこそ美しさがある)という思想は現代でも広く引用される。しかし義満の死後に庇護を失い、6代将軍・足利義教との対立から晩年は佐渡島に流配されるという悲劇的な末路を辿った。