南北朝時代の正平元年(1346年)頃、足利尊氏・直義兄弟の発願により全国66ヶ国に建立された安国寺のひとつとして、丹波国安国寺が綾部の地に開かれた。南北朝の争乱で命を落とした人々の菩提を弔うことを目的として各国に設けられた安国寺の制度は、室町幕府の宗教政策の根幹をなすものであった。臨済宗に属する当寺は、足利将軍家の帰依を受けながら丹波における禅宗文化の普及に貢献してきた。江戸時代には地域の菩提寺として在地の人々の信仰に支えられ、明治維新の廃仏毀釈の嵐を乗り越えながら法灯を守り続けた。現在も「あんこくさん」として地元に親しまれ、丹波の里山に南北朝の記憶を今に伝える寺院として存続している。