大宝院の創建年代は明らかでないが、鎌倉時代から室町時代にかけて金沢北条氏の庇護のもとで栄えた金沢地域の仏教文化の一端を担ってきた寺院と伝わる。金沢区一帯は13世紀後半、北条実時によって称名寺が創建され、金沢文庫が整備されるなど学問・宗教の一大拠点となった。大宝院はこうした風土のなかで真言宗の法灯を護持し、地域の信仰を支えてきたとされる。近世には江戸幕府による寺社政策のもとで真言宗寺院としての体制を整え、境内に大日如来をはじめとする密教の諸尊を祀る伽藍を維持してきた。明治時代の神仏分離令以降も廃寺を免れ、真言宗の寺院として法灯を継続した。現代においても金沢区の宗教的景観を構成する寺院の一つとして…