福嚴寺は昭島市中神町に所在する臨済宗建長寺派の寺院で、鎌倉建長寺を大本山とする禅の法脈を受け継ぐ。「福嚴」は「福徳が厳かに満ちる」という意味合いを持ち、広大な慈悲と功徳を衆生にもたらすという寺院の使命を表している。中神町は昭島市の中央部に位置し、JR青梅線中神駅の開業(1935年)以前は水田・畑地が広がる農村地帯であった。禅宗は中世の武士社会から農村に広まり、農民の菩提寺としても禅寺が各地に設けられた。福嚴寺は中神の地域共同体の菩提寺として機能し、葬儀・年忌法要・彼岸・盆の供養を担ってきた。駅の開業後は住宅地化が進んだ中神においても、福嚴寺は禅の精神を守り続け、現在も地域の檀家との結びつきを大…