羽黒山五重塔の創建は、平安時代中期の武将・平将門によるものと伝わるが、詳細は定かでない。出羽三山への信仰が高まった中世、塔は羽黒山修験道の霊場として重要な役割を果たした。現存する塔は応安5年(1372年)、庄内地方の領主・武藤政氏によって再建されたもので、東北地方に現存する最古の五重塔とされる。高さ約29メートル、素木造り・柿葺きの三間五重塔で、釘を一本も使わない伝統的な木組み構造が特徴である。江戸時代には羽黒山を治めた酒井氏のもとで出羽三山の信仰がさらに隆盛し、塔も修験の聖地の象徴として崇められた。明治時代の神仏分離令(1868年)に伴い出羽三山の宗教体制は大きく変容したが、塔そのものは損な…