万松寺は室町時代の応永年間(1400年頃)に創建されたと伝わる曹洞宗の寺院で、釈迦如来を本尊とする。東海道の平塚宿が整備される以前からこの地に存在した古刹とされ、「万の松」を境内に茂らせていたことが寺名の由来と伝えられる。江戸時代に入ると、東海道五十三次の宿場町として平塚宿が発展するとともに、本陣・問屋を務めた有力商家の菩提寺として重要な役割を担うようになった。現在の本堂は江戸時代に再建されたものとされ、境内には当時の豪商や旧家の墓石が現存し、平塚における近世の商業・社会史を今に伝えている。明治以降も地域の菩提寺として信仰を集め、平塚市街地の中にあって地域住民の精神的な拠り所であり続けている。