稲荷信仰の総本社は京都の伏見稲荷大社であり、宇迦之御魂神を主祭神とする。全国に約三万社ある稲荷神社の中には、農山村では五穀豊穣・家内安全、都市部では商売繁盛、沿岸部では海上安全の神として多様な形で崇敬されてきたものが多い。男鹿市角間崎は男鹿半島の中北部に位置し、楢沢の丘陵地に小さな集落が点在する地域である。本社はそうした集落の産土神として創建され、農作物の豊穣祈願や出漁前の安全祈願の場として機能してきた。男鹿の各集落では、ナマハゲ行事と地元鎮守の祭礼が地域アイデンティティの核をなしており、本社もその伝統を担う社の一つである。