遍照院は1000年頃(長保年間前後)に創建されたと伝わる真言宗の寺院で、弘法大師空海の徳号「遍照金剛」に由来する寺号を冠する。創建の詳細は定かでないが、平安時代末期には既に鬼怒川・小貝川流域の信仰の場として機能していたとされる。中世においては、たびたび両河川の洪水に見舞われる石下地区の住民が水難除けを祈願する霊場として篤い崇敬を集めた。近世(江戸時代)には地域の檀家制度のもとで寺院としての組織が整えられ、密教の法灯が継承された。近代以降は四国八十八ヶ所を模したミニ霊場が境内に整備され、遠方への巡礼が困難な人々にも弘法大師信仰の功徳を身近に授ける場として親しまれてきた。現在も本尊・大日如来を中心…