十王寺は北区岩淵町に位置する浄土宗の寺院で、死後の世界を司る十王(冥界の十人の裁判官)を祀ることに特徴がある。仏教的な死後観では、人は死後49日間にわたり十王の裁きを受けるとされ、各七日目ごとに行われる法要(初七日・二七日・三七日…忌日法要)はこの十王信仰に基づく。岩淵は中山道の荒川渡し場として江戸時代に多くの旅人が行き交い、旅の途次に亡くなった者の供養や、先祖の追善供養を依頼する人々が十王寺を訪れた。荒川という大きな川の渡し場に面したこの地で、冥界の裁き主を祀る寺院が設けられたことは、死と生の境界に対する当時の人々の宗教観を物語っている。浄土宗の念仏「南無阿弥陀仏」と十王信仰が融合した法要が…