弘仁元年(810年)、弘法大師空海が浜名湖に浮かぶ舘山を霊地と定め、虚空蔵菩薩を本尊として開創したと伝わる真言宗の古刹である。空海みずから刻んだとされる石仏が境内に残り、南側の洞窟はかつての修行場として今日に伝わる。中世には戦乱による荒廃を経たとされるが、詳細な記録は乏しい。近世には真言宗寺院として地域の信仰を集め、徐々に再興が進んだ。明治期の神仏分離・廃仏毀釈の影響を受けながらも法灯を守り続け、近代以降は学業成就・縁結びの霊場として広く知られるようになった。20世紀に入ると、寺の名にちなむ「舘山寺温泉」が浜名湖岸の温泉郷として発展し、参拝と観光が結びついた地域の拠点として現在に至る。