興津神社の創建は大宝年間(701年頃)と伝わり、少彦名命を主祭神として房総半島南部の海辺に鎮座してきた古社である。少彦名命は医薬・温泉の神として広く信仰され、海と生業を結ぶ漁村・興津の守護神として古くから崇敬を集めたとされる。中世以降、興津の地では海女漁が盛んに行われ、海女たちは潜水前に本社で海中の安全を祈願する慣習が根付いたと伝わる。近世には房総沿岸の漁業が発展するとともに、地域の氏神として漁師・海女双方の信仰を集め、社格が維持されてきたとされる。明治期の近代社格制度のもとでも地域の鎮守として存続し、現在に至る。現代においても毎夏の海開きに際して神事が執り行われ、海水浴客や漁業従事者の安全祈…