建福寺は埼玉県羽生市にある曹洞宗の寺院で、山号を羽生山と称します。天正年間(1573〜1592年)に各芸洞麟大和尚によって開山されたと伝わります。本尊は釈迦牟尼仏で、境内には黄檗宗の高僧・隠元の墨跡(羽生市指定有形文化財)が伝えられています。明治期の文豪・田山花袋と深いゆかりがあり、花袋の妻の兄にあたる第23世住職・太田玉茗が在住していたことから、花袋はたびたび当寺に滞在しました。日露戦争後、花袋が玉茗を訪ねた際に境内で若くして逝去した小林秀三の墓に気づき、秀三が残した日記に触れたことが長編小説『田舎教師』(1909年)執筆の契機となりました。秀三は在職中に当寺へ下宿しており、その旧本堂跡と墓…