岐阜県可児市の虎渓山に建つ永保寺(えいほうじ)の国宝観音堂は、南北朝時代の禅宗建築の傑作として建築史上極めて重要な意義を持つ。正和2年(1313年)に夢窓疎石が開創した永保寺の中核的堂宇で、床下に「無際橋」と呼ばれる美しい反り橋が架かり、庭園の池に映る姿は絶景として名高い。屋根は入母屋造りで軒は深く張り出した優美な禅宗様建築で、当時の大陸からもたらされた最新の建築様式の精髄を示す。隣接する開山堂(国宝)とともに鎌倉・南北朝時代の禅宗文化の伝播と日本化の過程を示す貴重な建築遺産。夢窓疎石の作庭した名勝庭園とともに、岐阜県を代表する国宝・重要文化財を持つ古刹として多くの拝観者が訪れる。