江田船山古墳は、熊本県玉名郡和水町江田に所在する5世紀後半(475年頃)築造と推定される前方後円墳である。全長約62メートルを測り、九州北部における古墳時代中期の有力な首長墓のひとつとされる。1873年(明治6年)、地元の農作業中に偶然発見された石棺内から、銀象嵌銘大刀・金銅製冠帽・金銅製沓・玉類など多数の副葬品が出土した。銀象嵌銘大刀に刻まれた「獲□□□鹵大王」の文字は、埼玉県の稲荷山古墳出土鉄剣の「獲加多支鹵大王」と同一人物、すなわち雄略天皇(ワカタケル大王)を指すとする説が有力であり、古代ヤマト王権の支配が九州の肥後地方にまで及んでいたことを示す第一級の文字史料として高く評価されている。…