熊野神社は和歌山県の熊野三社(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)を総本社とし、全国各地に勧請されてきた。主祭神は家都美御子大神・速玉男命・夫須美大神で、縁結び・再生・長寿・五穀豊穣などの御神徳を持つ。中世の熊野信仰は「蟻の熊野詣」と称されるほど庶民に広まり、東北各地にも多数の熊野神社が勧請された。下北手通沢の本社は、農村集落の鎮守として地域の生業を守護し、通沢の人々が世代を超えて祭礼を受け継いできた。死と再生の神としての熊野の性格は、農業サイクルの死と甦りのイメージとも重なり、農村信仰に自然と根付いた。