小平市は17世紀に玉川上水の開削(1653年)とともに大規模な新田開発が進んだ地であり、格子状の水路と畑が広がる独特の景観が生まれた。熊野宮はこの新田開発の時代に農民たちが熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)の神々を勧請して創建した鎮守であり、仲町の氏神として地域の農業と生活を守護してきた。熊野の神々は縁結び・子育て・五穀豊穣・除災のご利益があるとされ、新天地を切り拓く農民たちの信仰の拠りどころとなった。小平の格子状の水路(小川村の玉川上水分水系)は今も市内に残り、その歴史的景観の中で熊野宮は往時の新田開発の記憶を伝え続けている。