益子西明寺は、弘仁元年(810年)に慈覚大師円仁によって開かれたと伝わる天台宗の古刹である。創建当初より十一面観世音菩薩を本尊とし、坂東三十三観音霊場の第20番札所として広く信仰を集めてきた。中世には関東武士団の帰依を受け、寺勢が拡大したとされる。近世には徳川幕府の庇護のもと伽藍の整備が進み、現存する楼門・三重塔・本堂はいずれも江戸時代に建立ないし再建されたものと伝わり、国の重要文化財に指定されている。明治期の神仏分離令以降も天台宗寺院として法灯を継承し、近代以降は益子焼の産地として知られる益子町の文化的象徴の一つとなった。現在も坂東札所巡礼の拠点として多くの参拝者を迎えるとともに、境内の文化…