一之江は江戸時代、縦横に走る水路を活かした農業と漁業が盛んな水郷地帯であった。江戸の食を支える野菜や魚介の産地として知られ、農漁民が密集して暮らす村落が形成されていた。妙覚寺はこの地に創建された日蓮宗の寺院で、農漁民の強い信仰心に支えられて発展してきた。水郷地帯の住民は洪水や疫病などの自然の脅威にさらされることが多く、「南無妙法蓮華経」の唱題によって災難を払いのけようとする題目信仰が深く根付いた。近代以降、一之江の水路は埋め立てられ宅地化が進んだが、妙覚寺は変わらず地域住民の信仰と先祖供養の寺として法灯を守り続けている。