奈良井宿は、江戸幕府が整備した中山道69宿のひとつとして17世紀初頭に成立した。69宿の中でも標高が最も高く、難所とされた鳥居峠を目前に控える宿場として多くの旅人が泊まり、「奈良井千軒」と称されるほどの賑わいを誇った。木曽地域は尾張藩の直轄領として管理され、木曽五木の豊かな森林資源を背景に漆器・木工品産業が発展し、職人技術は現代に受け継がれている。明治期の鉄道敷設では中心部が通過ルートから外れたため、江戸・明治期の建物群が大規模な開発を免れた。1978年(昭和53年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在も約1kmにわたる歴史的町並みが往時の面影を伝えている。