龍泉寺は白鳳年間(672年頃)、役小角(えんのおづぬ)が開いたと伝わる古刹で、本尊は馬頭観世音菩薩である。天台宗に属し、尾張四観音の一つとして東方守護の観音に数えられてきた。中世には龍泉寺城が隣接して築かれ、城下の寺として地域の信仰と政治の要衝となったとされる。戦国期には織田氏ゆかりの地としての性格も持ち、幾度かの戦乱に際しても法灯を継承した。近世に入ると、名古屋城の鬼門(丑寅の方角)に位置することから、徳川家の厚い保護を受け、尾張藩によって寺観が整えられた。江戸時代を通じて「鬼門除け」の霊刹として篤く信仰され、初観音など年中行事が定着した。明治以降の近代化の中でも天台宗の寺院として法脈を維持…