那須町の那須湯本に位置する、九尾の狐伝説で知られる名勝殺生石と温泉神社。
殺生石は鳥羽上皇に仕えた玉藻前(九尾の狐の化身)が退治された後、毒石に変じたとされる。
硫黄の噴気が立ち込める荒涼とした岩場は、まさに妖狐伝説にふさわしい異界の風景。
2022年に殺生石が自然に割れたことが話題となり、「狐の呪いが解けた」と注目を集めた。
隣接する温泉神社は那須温泉の守護神で、第34代舒明天皇の時代に創建と伝わる。
温泉神社は那須与一が屋島の戦いの前に戦勝祈願した神社としても知られる。
境内には「大和さざれ石」や御神木の「五葉松」など見どころが多い。
殺生石一帯は国の名勝に指定され、那須岳の火山活動が生んだ独特の景観が広がる。
松尾芭蕉も「おくのほそ道」で殺生石を訪れ、「石の香や夏草赤く露あつし」と詠んだ。
那須温泉郷の歴史と伝説が凝縮された、栃木県を代表する霊的スポット。
殺生石の伝説は平安時代末期に遡り、鳥羽上皇の寵姫・玉藻前が九尾の狐の化身とされた。
玉藻前は上皇に病を与え、陰陽師安倍泰成に正体を見破られて那須野ヶ原に逃走。
上総介広常・三浦介義明の両将が追討し、退治された狐が毒石に変じたとされる。
石の周囲では有毒ガスで鳥獣が命を落とすことから「殺生石」の名がついた。
後に玄翁和尚がこの石を打ち砕いて供養し、破片が各地に飛散したという。
温泉神社の創建は舒明天皇の御代(630年頃)とされ、那須温泉発見の伝説と結びつく。
平安時代には那須郡の総鎮守として崇敬され、延喜式にも記載された。
源平合戦の際、那須与一が屋島出陣前に温泉神社で戦勝祈願したと伝えられる。…