松原市天美南に位置する貞正寺は、真宗大谷派(東本願寺系)の寺院で、河内平野の門徒文化を伝える菩提寺のひとつである。河内国は戦国時代(15〜16世紀)、三好長慶や後の織田信長の支配下に置かれ、各地で社会秩序の変動があったが、浄土真宗の門徒寺院は地域共同体の核として存続した。江戸幕府が成立した1603年(慶長8年)に本願寺は東(大谷派)と西(本願寺派)に分立したが、貞正寺は大谷派に帰属し、天美南地区の在地信者の精神的拠り所となってきた。「貞正」という寺号は、正しい信心を貞しく保つという意を示し、真宗の「正定聚(しょうじょうじゅ)」の教義とも通じる。明治以降の廃仏毀釈の影響を受けながらも寺院を維持し…