「堤方」という古地名は、多摩川の洪水を防ぐ堤(つつみ)に沿った地域を意味し、この地が長年にわたって水害と向き合ってきた歴史を物語る。池上は日蓮宗の大本山・池上本門寺の門前町として中世より栄え、日蓮聖人が弘安5年(1282年)に入滅した霊地として広く知られる。その池上の堤方地区に鎮座する堤方神社は、多摩川の氾濫から地域を守る水難除けの鎮守として創建されたと伝えられる。江戸時代には堤の修繕と神社への奉納が連動して行われ、地域住民が一体となって治水に取り組んだ記録が残る。現在も池上の地で、水との歴史的な関わりを今日に伝える鎮守として存続している。