堺市南区富蔵に位置する高野山真言宗の寺院。寺名「薬師」は薬師如来(東方瑠璃光如来)を本尊とすることを示す。薬師如来は病気平癒・除災得福の仏として奈良時代以来全国に広まり、天武天皇が680年に発願した奈良の薬師寺(718年に現在地移転)と同じ信仰の流れを汲む。高野山真言宗においても薬師如来は重要な尊格で、空海が体系化した胎蔵界・金剛界の曼荼羅にも位置付けられる。富蔵地区は堺市南部の農村集落で、薬師信仰を通じて農民の健康と五穀豊穣を祈る場として機能してきた。江戸期の檀家制度のもとで葬送・法要を担い現代に至る。