善坊寺は大阪府八尾市中田に位置する浄土真宗本願寺派(西本願寺系)の寺院である。浄土真宗は鎌倉時代に親鸞聖人(1173〜1262年)が開いた宗派で、阿弥陀仏の他力本願による救済を説く。中田の地は八尾市南部の農村地帯で、古来より大和川流域の水利を活かした農業が営まれてきた。戦国時代には、石山本願寺(現在の大阪城のあたり)をめぐる織田信長との長期戦(石山合戦)の際に、河内の一向宗信徒も多数参戦し、地域社会は本願寺の影響下に深く置かれた。江戸時代には幕府の寺請制度により、善坊寺も地域の菩提寺として住民の戸籍管理・葬礼を担う社会的機能を果たすようになった。明治の神仏分離令以降も浄土真宗寺院として法灯を守…