善乗寺は大阪府八尾市南本町に位置する真宗大谷派の寺院である。真宗大谷派は親鸞聖人(1173〜1262年)を宗祖とする浄土真宗の一派で、本山は京都の東本願寺(真宗本廟)である。東本願寺の歴史は17世紀初頭にさかのぼり、徳川家康が本願寺の勢力分断を図り、1602年(慶長7年)に教如上人に寺地を与えたことで本願寺から分立した。以来、西本願寺(本願寺派)と並ぶ真宗の二大本山として発展してきた。八尾市は河内国に属し、大阪平野の東部に位置することから、江戸時代を通じて商業・農業が盛んであり、真宗信仰を持つ人々が多く居住した。善乗寺はそうした地域社会のなかで菩提寺として機能し、念仏道場として門徒の信仰生活を…