「学問のすすめ」——「天は人の上に人を造らず」が変えた明治の意識
1872年から刊行された「学問のすすめ」(全17編)の冒頭「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」は、封建的身分制度を否定し個人の自立と平等を訴えた近代日本最初の啓蒙宣言とも言える。累計340万部以上売れたこの著作は、明治初期の教育熱の象徴となった。福沢諭吉は三度の渡米・渡欧で西洋の文明・制度を視察した経験をもとに、単なる西洋崇拝ではなく「実学」(実用的な知識と独立精神)の重要性を説いた。慶應義塾(現・慶應義塾大学)の創設も、この「実学」の理念の実践だった。