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建築
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ARCHITECTURE
箱根・阿弥陀寺——皇女和宮ゆかりの隠れ寺と琵琶法師の祈り
箱根・塔ノ沢の山あいに建つ阿弥陀寺は、慶長9年(1604年)木食弾誓上人開創の浄土宗寺院。皇女和宮が明治10年(1877年)に薨去した際の葬儀の地、住職による琵琶演奏と『平家物語』の語り、6〜7月の紫陽花の名所として知られる隠れ寺の魅力を完全解説。
目次
MOKUJI
木食弾誓上人の開創——箱根の山中の念仏道場
皇女和宮ゆかりの寺
琵琶演奏と現代の魅力
紫陽花と隠れ寺としての魅力
参拝時のポイント
ゆかりのスポット一覧
よくある質問
結論から言うと、阿弥陀寺(あみだじ)は箱根町塔ノ沢の山あいに建つ慶長9年(1604年)創建の浄土宗寺院で、皇女和宮の葬儀が行われた地・住職による琵琶演奏・紫陽花の名所として知られる「隠れ寺」である。木食弾誓上人(もくじきだんせいしょうにん)が修行の地として開いた静謐な道場で、塔ノ沢温泉の喧騒から急坂を登った先に佇む。本記事では創建の歴史、皇女和宮の最期、琵琶演奏の伝統、紫陽花、参拝のポイントを順に解説する。
木食弾誓上人の開創——箱根の山中の念仏道場
五穀を断つ苦行僧
阿弥陀寺の創建は、慶長九年(1604年)、木食弾誓上人による。木食(もくじき)とは、五穀を断ち、木の実だけを食べて修行する苦行のこと。弾誓上人はその代表的な僧で、各地を巡って民衆教化に努めた。
浄土宗の念仏道場として
阿弥陀寺は、弾誓上人が修行の地として選んだ箱根の山中に建立された。浄土宗の念仏道場として、塔ノ沢温泉の上方の山中に静かに佇む。江戸期を通じて庶民の念仏信仰の場として機能した。
皇女和宮ゆかりの寺
公武合体の悲劇のヒロイン
阿弥陀寺は、皇女・和宮(かずのみや、1846-1877)ゆかりの寺として知られる。和宮は仁孝天皇の第八皇女、孝明天皇の妹。文久元年(1861年)、公武合体政策のために将軍・徳川家茂(いえもち)に降嫁した、幕末史を象徴する人物である。
塔ノ沢での薨去
和宮は明治十年(1877年)、療養のため箱根塔ノ沢に逗留した。脚気(かっけ)の病に苦しんだ彼女は、静かな箱根の地で療養を続けたが、滞在中の九月二日に三十二歳で薨去した。葬儀は塔ノ沢の宿で亡くなり、阿弥陀寺で行われた。遺体は江戸(東京)の増上寺へ運ばれ、夫・家茂と並んで葬られた。だが箱根での葬儀の記憶から、阿弥陀寺は「和宮ゆかりの寺」として語られてきた。境内には和宮を偲ぶ碑があり、皇女の最期の悲しみを伝えている。
琵琶演奏と現代の魅力
住職が奏でる平家物語
阿弥陀寺の現代における大きな特徴は、琵琶の音色が定期的に響くことだ。住職が琵琶法師として演奏を続け、参拝者の前で『平家物語』などの古典を語る。和宮の月命日(毎月二日)には、特別な琵琶の演奏が奉納されることもある。
音と言葉と祈りが一体となる場
琵琶の音色を聴きながら参拝するこの体験は、ほかの寺ではなかなか得られない。音と言葉と祈りが一体となる、生きた仏教文化の場として、阿弥陀寺は機能している。
紫陽花と隠れ寺としての魅力
雨の参道に咲く青い花
阿弥陀寺はまた、紫陽花の寺としても知られる。六月から七月にかけて、参道や境内が紫陽花で彩られ、雨の日の参拝が特に美しい。「あじさい寺」と呼ばれる寺は全国にあるが、阿弥陀寺の紫陽花は、観光地化された他寺院のような華やかさとは異なる、静かで内省的な美しさがある。
観光から守られた静寂
阿弥陀寺の魅力は、何より「隠れ寺」としての佇まいにある。箱根観光の中心からは少し外れ、観光客で賑わうことは少ない。塔ノ沢温泉から急坂を二十分ほど登る——この少しの労力が、寺の静寂を守っている。和宮の悲しみと紫陽花の青が、不思議に響き合う。
参拝時のポイント
アクセス: 箱根登山鉄道塔ノ沢駅から徒歩約20分(急坂)。タクシーなら5分
所要時間: 参拝のみなら30分。琵琶演奏や境内散策を含めると1時間半
必見: 本堂、和宮ゆかりの碑、紫陽花の参道(6〜7月)
琵琶演奏: 開催スケジュールは事前に寺に問い合わせを
おすすめの時期: 紫陽花の6〜7月、紅葉の11月、和宮の月命日(毎月2日)
服装: 急な石段と山道があるので、歩きやすい靴で
ゆかりのスポット一覧
阿弥陀寺(箱根)
箱根神社
早雲寺(北条五代の菩提寺)
よくある質問
琵琶演奏はいつ聴けますか?
住職が定期的に琵琶演奏を行っていますが、毎日ではありません。和宮の月命日(毎月2日)に特別な演奏が奉納されることが多く、その他は事前に寺に問い合わせて確認するのが確実。観光客対象の予約制ではなく、住職の日課に合わせて行われる祈りの音です。
塔ノ沢駅から徒歩で行ける?
塔ノ沢駅から徒歩約20分ですが、急な坂道が続きます。健脚向けの参道で、雨天や冬季の凍結時は危険。高齢者・体力に不安がある方はタクシー(5分・約1,000円)を推奨します。
紫陽花の見頃は?
例年6月中旬〜7月上旬が見頃。雨に濡れた紫陽花の青が阿弥陀寺の静寂と最も響き合う季節です。観光客が比較的少ない平日の午前中、特に小雨の日が穴場体験となります。
和宮の墓所は阿弥陀寺にあるのですか?
墓所は東京の増上寺(徳川将軍家墓所)にあり、夫・徳川家茂と並んで葬られています。阿弥陀寺は和宮の葬儀が行われた地で、境内に偲ぶ碑が建っています。歴史的には「葬儀の地」「最期の地」として記憶される寺です。
御朱印はいただけますか?
通常の御朱印に加え、和宮ゆかりの限定御朱印が授与されることがあります。住職不在時は書置きとなる場合があるので、事前確認推奨。琵琶演奏の日は限定御朱印が頒布されることも。
最終更新: 2026年5月2日
箱根・阿弥陀寺の本堂——慶長9年(1604年)木食弾誓上人開創の浄土宗道場
Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
皇女和宮——仁孝天皇第八皇女、徳川家茂正室、明治10年に箱根塔ノ沢で薨去
Wikimedia Commons / Public Domain
阿弥陀寺の庭園——塔ノ沢温泉から急坂を登った先の静寂
Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
阿弥陀寺の紫陽花——6〜7月の雨の参道を青く染める
Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
琵琶法師——阿弥陀寺住職が継承する古典芸能
Wikimedia Commons / Public Domain
── 了 ──
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