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建築
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ARCHITECTURE
根津神社——重文7棟と3000株つつじの江戸建築案内の歴史と現地
宝永3年(1706年)に徳川綱吉が造営した権現造の社殿群7棟が国の重要文化財に指定される。関東大震災・東京大空襲を生き延びた江戸中期の建築美と、約100種3000株のツツジが咲き乱れる春の文京つつじまつりが東京屈指の見どころ。谷根千散策の拠点として参拝ガイドを徹底解説する。
目次
MOKUJI
根津神社の歴史——徳川綱吉の「天下普請」とは
権現造の建築美——7棟の重要文化財を歩く
つつじ苑——春の東京でここだけの絶景
文豪たちの聖地——谷根千と根津神社
参拝ガイド——アクセスと季節のポイント
よくある質問
根津神社は、日本武尊の創祀と伝わる1900年以上の歴史を持つ古社だ。現存する権現造の社殿群7棟は宝永3年(1706年)に五代将軍・徳川綱吉が造営したもので、すべてが国の重要文化財に指定されている。関東大震災と東京大空襲をともに免れ、江戸中期の建築美をそのまま伝える東京随一の歴史的社殿群である。春の約100種3000株のつつじが咲き誇る文京つつじまつりとあわせて、年間多くの参拝者が訪れる。
根津神社の歴史——徳川綱吉の「天下普請」とは
日本武尊の創祀から太田道灌の奉建まで
根津神社の起源は、日本武尊が東征の際に千駄木の地に創祀したことと伝わる。その後文明年間(1469〜1487年)に太田道灌が社殿を奉建したとされ、江戸城を築いた名将との縁が深い。
徳川綱吉と「天下普請」による社殿造営
根津神社の歴史上最大の転機は、元禄・宝永年間の徳川綱吉による大規模造営だ。元禄15年(1702年)、後継者のいなかった綱吉は兄・綱重の子である綱豊(後の六代将軍・徳川家宣)を養嗣子に迎えた。綱豊の産土神(うぶすながみ)が根津神社であったことから、綱吉は根津神社を現在地に遷座し、幕府主導の大事業「天下普請」で壮大な社殿群を造営した。宝永3年(1706年)に竣工したこの社殿は、当時の最高技術を結集した傑作だ。
社殿
建築様式
文化財指定
本殿
三間社流造(千鳥破風・軒唐破風付)
重要文化財
幣殿
本殿・拝殿をつなぐ石の間
重要文化財
拝殿
入母屋造(大向拝付)
重要文化財
唐門
唐破風屋根・随身像安置
重要文化財
西門
重要文化財
透塀
全長約200m格子状塀
重要文化財
楼門
二層・随身像配置
重要文化財
関東大震災と東京大空襲を生き延びた奇跡
明治の神仏分離により「根津神社」と改称。府社に列格された後、関東大震災(1923年)・第二次世界大戦の戦火をともに免れ、江戸時代の社殿群が完全な形で現存している。東京でこれほどの規模の江戸中期建築群が残る場所はほとんどなく、建築史上きわめて重要な文化財だ。
権現造の建築美——7棟の重要文化財を歩く
権現造とはどのような建築様式か
権現造とは、本殿と拝殿を「石の間」と呼ばれる建物でつなぎ合わせた様式で、日光東照宮に代表される。根津神社の社殿は日光ほどの派手さはないが、漆塗りの壁面の金色装飾と極彩色の彫刻は見事だ。本殿天井の花鳥彩色画、幣殿の精緻な組物、楼門の朱塗りと随身像の組み合わせは、じっくり時間をかけて鑑賞する価値がある。
乙女稲荷の千本鳥居
境内の末社乙女稲荷神社は、社殿裏手の小高い丘に鎮座し、朱塗りの鳥居が連なるトンネル状の参道「千本鳥居」が続く。京都の伏見稲荷大社を彷彿とさせるこの光景はSNSでも人気のフォトスポットだ。もう一つの末社・駒込稲荷神社とあわせて、境内の裏手エリアも忘れずに歩きたい。
つつじ苑——春の東京でここだけの絶景
約100種3000株の多彩なツツジ
境内北側に広がる約2000坪のつつじ苑には、約100種3000株のツツジが植えられている。4月中旬〜5月上旬の約1ヶ月間、早咲きから遅咲きの品種が順番に開花し、赤・白・ピンク・紫・朱色・藤色の花が斜面を覆い尽くす光景は圧巻だ。
文京つつじまつりの楽しみ方
文京つつじまつり」(4月上旬〜5月上旬)の期間中はつつじ苑が一般公開(入苑料300円)され、甘酒茶屋や露店も出店する。珍しい品種の「風車つつじ」(風車状の花弁)や豆粒ほどの小花を咲かせる品種も見られ、植物好きにとっても見どころが多い。期間中は週末を中心に非常に混雑するため、平日の早朝参拝がおすすめだ。
文豪たちの聖地——谷根千と根津神社
漱石・鷗外が愛した根津の街
根津神社は文豪たちとも縁が深い。夏目漱石・森鷗外・川端康成など多くの文学者が根津・千駄木界隈に居を構え、根津神社周辺に暮らした。漱石の「吾輩は猫である」に登場する散歩道は根津神社周辺とされ、森鷗外の旧居「観潮楼」は徒歩圏内にある。谷根千(谷中・根津・千駄木)エリアの文学散歩コースの中核として、文化的にも重要な場所だ。
参拝ガイド——アクセスと季節のポイント
最寄り駅は東京メトロ千代田線の根津駅(1番出口より徒歩5分)または千駄木駅(1番出口より徒歩5分)、南北線の東大前駅(2番出口より徒歩5分)。参拝無料(境内24時間)、つつじ苑は開花期間中のみ入苑料300円。
参拝後は谷中銀座商店街での食べ歩き、旧安田楠雄邸庭園の見学、森鷗外記念館への立ち寄りなど、下町散策とセットで楽しむのが定番コース。根津神社のスポット詳細で境内マップと開花情報を事前に確認しておくと便利だ。
よくある質問
根津神社のつつじは何月が見頃ですか?
4月中旬から5月上旬が見頃です。早咲き・遅咲き合わせて約1ヶ月楽しめますが、ピークは4月下旬頃。開花状況は神社公式サイトや文京区の情報で最新状況を確認してください。
重要文化財の社殿はいつでも見られますか?
はい、境内に入れば7棟の重要文化財建造物は常時見学できます。特別な拝観料は必要ありません。つつじ苑のみ開花期間中に入苑料がかかります。
乙女稲荷の千本鳥居はいつでも通れますか?
境内が開いている時間(早朝〜夕暮れ)はいつでも通り抜けられます。特に朝方の光が差し込む時間帯がフォトジェニックです。
根津神社は谷根千散策の起点になりますか?
はい、最適な起点です。根津神社から谷中銀座、谷中霊園、森鷗外記念館、旧安田楠雄邸まで徒歩で巡れます。半日〜1日かけてのんびり散策するのがおすすめです。
徳川綱吉はなぜ根津神社を整備したのですか?
後継者として迎えた甥・綱豊(後の六代将軍・家宣)の産土神が根津神社だったためです。将軍家の縁の深い神社として格式を高めるために、幕府主導で大規模な造営を行いました。
最終更新: 2026年4月25日
── 了 ──
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