香澤山安洞院は福島市山口に位置する曹洞宗の寺院で、文禄4年(1595)に文知摺観音堂の別当寺として開創されたと伝わります。信達三十三観音霊場の第2番札所で、本尊は聖観世音菩薩です。境内には古今集や百人一首に詠まれた「しのぶもちずり」ゆかりの文知摺石が残り、嵯峨天皇の皇子・源融と里の長者の娘をめぐる悲恋の伝承が伝えられます。元禄2年(1689)には松尾芭蕉が『奥の細道』の途次に訪れ、「早苗とる手もとや昔しのぶ摺」の句を詠みました。多宝塔は文化9年(1812)の建立で福島県指定有形文化財、文知摺石は福島市指定の史跡・名勝となっています。