梅渓寺は岸和田市南町に位置する曹洞宗の寺院で、道元禅師(1200〜1253)が中国・宋から禅の真髄を持ち帰り開いた宗派を奉じる。寺号「梅渓」は梅の咲く渓谷を想起させ、禅的な閑寂の美意識と重なる雅な名である。曹洞宗では「只管打坐(しかんたざ)」と呼ばれる坐禅の実践を根本とし、悟りを求めて特別な技巧を凝らすのではなく坐ること自体が仏行と説く。岸和田の城下町に根を張るこの寺は、中世から近世にかけて町人や農民の葬儀・法事を務める菩提寺として機能し、禅の精神を静かに伝えてきた。現在も南町の地域信仰を守り続けている。