魚籃寺は港区三田四丁目に所在する浄土宗の寺院で、魚籃観音を本尊として古くから知られる名刹である。魚籃観音は魚を入れた籠を持つ観音菩薩の変化身で、江戸時代以前から日本に伝わった。近隣の魚市場・漁師町との縁から漁業・商売繁盛の御利益で知られるようになり、安産・子育ての観音として女性の信仰も篤く集めた。江戸時代を通じて三田の名所として参詣者が絶えず、庶民の信仰の中心として機能した。増上寺の門末として浄土宗の念仏信仰とも結びつきながら、観音信仰という親しみやすい形で広く参拝を集めてきた。現代においても観音様を慕う人々の参詣が続く三田の名所である。