上芳我邸は、愛媛県喜多郡内子町において江戸後期から明治期にかけて隆盛を誇った木蝋産業の中心地・内子に所在する近代和風建築の邸宅である。内子の木蝋業は江戸後期に本格化し、良質のハゼノキを原料とする木蝋は全国的な需要を集め、上芳我家はその有力な生産・販売業者であった。上芳我家は内子木蝋業の筆頭格であった本芳我家の分家として興り、明治27年(1894年)に現在地に主屋をはじめとする建築群を完成させた。主屋・釜屋・土蔵など10棟からなる邸宅は、木蝋で蓄えた豊かな財力を反映した格調高い造りで知られる。明治末から大正期にかけて木蝋産業が衰退に向かうと、上芳我家もその影響を受けたとされる。昭和期以降は歴史的…