吹上温泉は、薩摩藩時代から湧出が知られる古湯で、慶長年間(1600年頃)には既に利用されていたと伝わる。薩摩藩を治めた島津家はこの地を湯治場として重用し、藩主をはじめ家臣らが湯治に訪れたとされる。鹿児島県日置市吹上町湯之浦に位置し、東シナ海に近い海岸沿いの地に湧く泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、古くから皮膚病や疲労回復に効能があるとされてきた。明治維新後も藩政期の湯治場としての性格を継承しながら、周辺に小規模な温泉街が形成された。近代以降は鹿児島県内でも有数の秘湯として知られるようになり、静かな田舎の風景とともに湯治文化が現代まで受け継がれている。現在も開発を抑えた素朴な温泉地としての…