入道崎は男鹿半島最北端に位置する岬で、日本海に突き出た断崖と灯台・芝生の丘が広がる男鹿を代表する景勝地である。「寶塔寺(宝塔寺)」の寺名は法華経の宝塔品に登場する多宝如来の宝塔に由来し、日蓮宗の根本聖典たる法華経への帰依を端的に示す。日蓮宗は鎌倉時代に日蓮聖人が開いた宗派で、「南無妙法蓮華経」の題目を唱えることで衆生救済が果たされると説く。東北地方にも日蓮宗の寺院は分布するが、秋田ではやや少数派であり、入道崎という最果ての地に本寺が建つ背景には、漁師たちの強烈な現世祈願と法華経の功徳信仰が結びついたと考えられる。荒波に囲まれた岬の寺として、今も海の安全と漁業の守護を祈り続けている。