「寶田寺(宝田寺)」という寺名は「宝の田」すなわち仏法の豊かな実りを表し、開山当時の願いを込めた寺号と解される。曹洞宗は道元禅師が1227年に宋から帰朝して伝えた禅宗で、「修証一等(修行と悟りは一体)」の立場から只管打坐を核とする。西黒沢は北浦地区の山間に位置する小集落で、里山農業と沿岸漁業の双方を生業とした地域性がある。寶田寺はそうした山里の人々の生老病死に寄り添い、日々の坐禅と念誦を通じて仏道を伝えてきた寺院である。秋田県の農村では江戸期の寺請制度以来、曹洞宗寺院が各集落の精神的核として機能することが多く、本寺もその一例として地域の信仰共同体を支えてきた。