十念寺は北小岩の江戸川堤防近くに位置する真言宗豊山派の寺院である。「十念」という寺号は浄土系の十念(阿弥陀仏を十回称えること)に由来する語感を持つが、宗派は豊山派の密教であり、念仏と密教の融合という日本仏教の多面的な性格を反映している。北小岩は江戸川堤防近くの農村地帯として形成され、水害のリスクと常に隣り合わせに暮らす人々の不安と祈りを受け止める場として寺院は機能した。檀家制度の中で地域住民の冠婚葬祭を担い、特に水難・火難除けの祈祷が求められる土地柄から、密教の修法が日常的に行われてきた。戦後の宅地化を経た現在も北小岩の地域寺院として機能し続けている。