にかほ市象潟(きさかた)に位置し、松尾芭蕉の「おくのほそ道」に象潟と共に詠まれた由緒ある天台宗の寺院である。蚶満寺は奈良時代(807年頃)に坂上田村麻呂が創建したとも伝わる古刹で、象潟の浜辺に浮かぶ島々に囲まれた幻想的な景観の中に鎮座していた。元禄2年(1689年)に松尾芭蕉が奥の細道の旅でこの地を訪れ「象潟や雨に西施がねぶの花」と詠んだことで、象潟は全国にその名を知られるようになった。しかし文化元年(1804年)の象潟地震により地盤が隆起し、かつて海中に浮かぶ無数の島々が田圃に変貌した。この劇的な地形変化により「陸の松島」ともなった象潟は、芭蕉が見た絶景とは異なる独特の景観を今も保っている。境内には芭蕉の句碑をはじめ、当時の象潟の姿を伝える資料・古文書が保存されており、象潟の歴史・文化を学べる場となっている。俳諧文化と東北の自然・歴史が交差する秋田を代表する寺院である。