妙円寺は、元応2年(1320年)頃に日蓮上人の弟子が布教の旅の途中で上総国南部の山間に草庵を結んだことに始まると伝わる。日蓮宗の教えを山間の地に根付かせたこの草庵が、やがて寺院として整備されたとされる。中世から近世にかけて、房総半島内陸部の山村に生きる人々の精神的な拠り所として信仰を集め、法華経を中心とした日蓮宗の勤行が連綿と続けられてきた。近世には勝浦周辺の漁村・山村双方の人々に信仰されたと伝わり、地域に根ざした寺院として歩みを重ねた。明治以降の近代化の波の中にあっても、寺院としての法灯は絶えることなく護持され、現在も毎朝の勤行で法華経が読誦されている。境内の古木や苔むした石などに往時の歴史…