清岸院は港区愛宕に位置する曹洞宗の寺院である。愛宕の地は愛宕山・愛宕神社の門前として知られ、江戸城の西の出口に位置する地理的要衝であった。愛宕山は江戸の「出世の石段」で名高く、江戸時代には多くの参詣者が訪れた霊地として知られている。愛宕2丁目8番7号という住所には清岸院と考壽院の二寺が並ぶが、それぞれ独立した法灯を守る別の寺院である。曹洞宗の清岸院は道元禅師の只管打坐の教えを受け継ぎ、坐禅を実践・悟りの不二として捉える禅の修行体系を守っている。愛宕山の霊地的雰囲気と曹洞禅の静謐な修行文化は互いに親和し、清岸院はこの地の精神的文化の一翼を担ってきた。現代においても愛宕の歴史的環境の中で坐禅修行・…