南平の熊野神社は日野市南平に鎮座し、和歌山の熊野三山を勧請した神社として古くから地域の鎮守を担ってきた。南平は多摩丘陵の南縁に位置する農村地帯で、中世以来の開拓農民が土地の守護神として熊野の神々を勧請したと伝わる。伊邪那岐命・伊邪那美命を中心とする熊野信仰は、縁結び・安産・五穀豊穣など農村生活に直結する御利益が多岐にわたることから、近世を通じて広く民間に浸透した。明治の神仏分離以降も神社としての体裁を整えながら産土信仰の場として機能し、南平の住民が春の祈年祭・秋の例大祭を営む地域の精神的支柱として今日に至っている。