高ヶ坂の熊野神社は多摩丘陵の「高ヶ坂」—高台の坂—に鎮座する神社で、熊野三山に由来する熊野大神を祀る。高ヶ坂は相模国と武蔵国の国境に近い丘陵地で、古くから農耕を中心とした農村が形成されていた。熊野信仰は中世に西国の熊野詣が盛んになるとともに全国各地に熊野社が勧請され、関東の農村部にも多くの熊野神社が分布するようになった。高ヶ坂の熊野神社もこの流れを汲み、縁結び・病気平癒・五穀豊穣のご神徳を求める農民の信仰を集めてきた。絹の道が通過する多摩丘陵南部の地域として商人・旅人の往来もあり、神社は安全祈願の場としても機能した。現在は高ヶ坂の住宅地に囲まれた鎮守として、地域住民の氏神崇敬が続いている。