熊野信仰は中世以降、修験道と結びつきながら全国各地に広まった。伊弉冉尊・速玉男神・事解男神を祀る熊野三山の神々は、死と再生・縁結び・航海安全など多様な御神徳を持つとされる。秋田県内でも熊野神社は各地に勧請されており、特に日本海沿岸の漁村では海上安全の守護神として重んじられてきた。福米沢地区は男鹿半島西部に位置し、日本海に近い環境から漁業が盛んな土地柄である。本社はその地域的な特性を反映し、出漁の無事と豊漁を祈る場として機能してきたと伝わる。現在も集落の年中行事と結びつきながら信仰が継承されている。