本居宣長は1730年(享保15年)、伊勢国松阪の木綿商の家に生まれた。幼少より学問を好み、1752年(宝暦2年)に京都へ遊学して医学を学ぶかたわら、契沖・荷田春満らの国学の流れを受け継ぐ堀景山に師事し、古典研究への志を深めた。帰郷後は松阪で医師として生計を立てながら、和歌・古典の研究に邁進した。1763年(宝暦13年)には松阪を訪れた賀茂真淵と一夜の会見を果たし(「松阪の一夜」)、その薫陶を受けて『古事記伝』の執筆を決意した。宣長は1764年(明和元年)頃から同書の起稿に着手し、35年の歳月をかけて1798年(寛政10年)に全44巻を完成させた。旧宅「鈴屋」は宣長が晩年まで研究に励んだ場であり…