林泉寺の「林泉」は、木立の間から湧き出る清らかな泉という美しいイメージを持ち、禅が自然の中に悟りの本質を見出すという精神と結びつく。日本庭園の用語でもある「林泉」は枯山水・池泉庭園の美学に通じ、禅寺の境内設計の理念を体現する言葉でもある。小日向四丁目は神田上水の水源地帯に近い静かな高台で、江戸時代の旗本屋敷地帯という格式を持つ。曹洞宗は道元禅師が鎌倉時代に宋から伝えた禅を基盤とし、「山川草木悉有仏性(山や川・草木すべてに仏性が宿る)」という自然観が禅の日本化を進めた。林泉寺はその精神を体現するように、自然を愛でる禅の感性を小日向の地に根付かせ、武家・町人の菩提所として地域の信仰を担ってきた。現…