平町は目黒区の南部に位置し、江戸時代には農村と武家屋敷が混在する近郊地帯であった。櫻森稲荷神社はその名のとおり、かつて桜の大木が生い茂る小高い森の中に祀られた稲荷であり、地域の農家が春の農耕始めに豊作と商売の繁盛を祈願した社として親しまれてきた。江戸期の創建と伝わり、朱塗りの鳥居と桜の取り合わせが地区の春の風景を形成してきた。明治以降に平町が宅地化するとともに境内の桜林は縮小したが、「桜と稲荷」の取り合わせへの愛着は住民の間で受け継がれ、春の例大祭には多くの参拝者が訪れる。現在も桜の季節に縁結び・商売繁盛の絵馬が多数奉納されるなど、地域に根付いた信仰の場として機能している。