西方寺は大阪市住吉区遠里小野に位置する浄土宗の寺院である。「西方」という寺名は阿弥陀仏が主宰する西方極楽浄土への往生を願う浄土宗の信仰に由来する。浄土宗を開いた法然上人(1133〜1212年)は比叡山で修学後、43歳のとき専修念仏の教えを唱え、庶民信仰の扉を大きく開いた。法然の弟子には証空・弁長・親鸞など多くの高僧が輩出され、その流れは全国の都市部・農村部に及んだ。大阪・住吉の地域は難波・住吉津を通じた交通の要所であり、古代から仏教寺院が点在してきた。西方寺は近世以降にこの地域の庶民信仰の受け皿となり、葬祭・年忌・彼岸などの仏事を通じて地域住民の生活と深く結びついてきた歴史を持つ。