杣保葛神社は青梅市藤橋地区に鎮座し、多摩川上流の林業を生業とした山間集落の守護神として長く信仰されてきた。「杣」とは山林で木材を伐り出す杣人を指す言葉であり、社名にその由来が刻まれている。江戸時代には多摩川を利用した木材の筏流しが盛んに行われ、藤橋周辺も木材集散の要所として機能した。山仕事の危険と隣り合わせで生きる人々が作業の安全を祈り、豊かな山の恵みに感謝する場として神社は集落の精神的支柱となった。近代以降に林業が衰退しても地域の氏神としての役割は変わらず、年間を通じた祭礼と氏子による奉仕活動が神社の伝統を守り続けている。